パンを膨らませる目的で使用される酵母は主に、「イースト」と呼ばれるものと、天然「酵母」といわれるものの2種類です。
イーストは、自然界に存在する酵母から特定の酵母菌のみを取り出し、必要な栄養分を与えて工場で純粋培養したもので、一般的なパン屋でよく使われています。
天然酵母は、もとは同じ自然の植物などに付着する酵母を純粋培養せずに自然の力によって培養し、パンを膨らませる酵母にします。
天然酵母を使って造ったパンは、風味の豊かな香り、そしてゆっくりと発酵させるため、小麦の旨みを十分に引き出したパンになります。
また、天然酵母には、イーストには無い乳酸菌や酢酸菌を含まれているため、身体にもよいといわれています。
天然酵母作りは「種起こし」という菌を育てる作業から入ります。
左写真はブロート屋のライ麦の天然酵母です。
時間と手間、細やかな気配りによって美味しい酵母菌を育ててから、はじめてパン製造が始まります。
ローマ時代では、貧困者が食べるものとされていたものです。
小麦より、乾燥や寒冷な気候に耐えるため、ドイツや東ヨーロッパなどでは主要な穀物として栽培されていきました。
現在では、ライ麦は小麦よりビタミンB群や食物繊維が多いことを認められて、ヨーロッパ全土で栽培されています。
ちなみに「ライ麦」という名は、中国で西側(ヨーロッパ)から「来た麦」ということで、「来麦」とされ、それがアメリカ大陸に渡るときに、英語の「rey」とされたものです。
読んで字のごとくすべての粒を粉にしたものであります。
小麦は一番外側の「表皮」、芯にある「胚芽」、一番大きな「胚乳」と別けられますが、一般的に小麦粉として売られているのは、「胚乳」の部分だけとなります。
しかし、たくさんの栄養を含んでいるのが、「表皮」、「胚芽」の部分です。
そこで、小麦を丸ごと粉にしたものが「全粒粉」。
小麦の栄養丸ごと食べることで、身体に良いとされています。
一般的な白い粉を使って造られたパンとは違い、独特な食感を生み出します。
身体に必須の脂肪酸、アルファリノレン酸などが、豊富に含まれる食材。
1/3近くが食物繊維で、便秘解消や、コレステロール値を下げるなどの効果があります。
これは諸説ありますが、紀元前6000年前のメソポタミヤ文明(イランとかイラク辺り)の下であるというのが、一般的です。
その時点では、まだ発酵したものでなく、ただ練り上げたものを焼いて食べていたといわれますが、そこからエジプトに伝わり(紀元前4000年前)発酵したパンが食べられ始めたといわれております。
この発酵パンは偶然から生まれたものとされている。
多分、うっかりハチベェが、うっかり練ったパンをそのまま、うっかり忘れて放置して、次の日に(やべぇ、ご隠居にどやられてしまうぞ。)と、なんだが少し膨らんで変な香りがするけど、焼いてみたところ、ご隠居が「はちべぇ!このパンは、いつもよりおいしいではないか!」と言ったところから、この発酵パンが主流となったとされております。
1543年にポルトガル人が種子島に鉄砲を伝えたときに、パンが初めて日本に入ったと言われております。
英語では「bread」であるから、「パン(pain)」はポルトガル語であると思われます。
ちなみに、フランス語やスペイン語でも「パン」となります。
ドイツの伝統パンにブレツェル(Brezel)というパンがあります。
意味としては、ラテン語の「腕」からきていて、ねじった様が腕組みをしているようだとか。
これは炭酸水素ナトリウムに浸して焼き上げるという方法が用いられるが、あの光沢と食感はそのために生まれたものです。
よくドイツのパン屋の看板に使われているが、理由ははっきりとはわかっておりません。
魔よけの意味があったりするとか、ないとか、、、。
英語では、頭文字がP(Prezel)であります。
アメリカなどでは、パンと言うよりスナック菓子として食べられております。
ドイツのパン屋さんを覗けば、どのパン屋にもねずみの形をしたパンがあります。
これは昔、麦を保存していた蔵での、ねずみの被害がひどかったため、「それなら、お前ら食ってやるぞ!」とパン屋さんが怒り出し、パンをねずみの形にして食べ始めたのがねずみパンの始まりです。
各都市によって、ノーマルねずみや、チョコチップ入りのねずみ、はたまたハリネズミなんてものまで、様々です。